防災庁が発足|防災士が解説する「何が変わるのか」と、私たちが今日から見直したい3つの備え

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防災庁が発足しました

2026年11月2日、新しい国の組織「防災庁」が発足しました。

私は防災士として、このニュースを感慨深く見ていました。これまで国の防災は、内閣府の防災担当を中心に、各省庁がそれぞれの分野を担ってきました。それが今回、「庁」として独立し、災害対応の司令塔になる。防災を仕事と趣味の両方で追ってきた一人として、「ついにここまで来たか」という思いがあります。

この記事では、防災庁とは何なのか、私たちの暮らしに何が関係するのかを、防災士の目線で分かりやすくまとめます。むずかしい制度の話だけで終わらせず、最後に「今日から家庭で見直したい備え」まで書きました。

結論:防災庁は「事前防災」の司令塔。でも、備えるのは私たち一人ひとり

先に結論です。

  • 防災庁は、平時の備え(事前防災)から、災害発生時の対応、復旧・復興までを一貫して担う司令塔として発足しました
  • 体制は内閣府防災担当の約1.6倍、定員352人。各省庁へ対応を促す勧告権を持つ防災大臣が置かれました
  • そして発足当日、初代の防災相が国民に向けて真っ先に求めたのは、大きな制度の話ではなく「家具の固定」と「食料備蓄」でした

国の体制がどれだけ強くなっても、地震の瞬間に家具の下敷きになるかどうか、最初の3日を自宅で過ごせるかどうかは、家庭の備えで決まります。ここは、防災庁ができても変わりません。

防災庁とは? 3つのポイント

① 内閣府防災担当を「格上げ」した、内閣直属の組織

防災庁は、内閣府の防災担当部局を発展的に改組して新設されました。内閣直属の「庁」が新しくできるのは、2021年のデジタル庁以来のことです。

トップは内閣総理大臣。業務を統括する防災大臣には、初代として細野豪志氏が就任しました。組織は次の4部門でスタートしています。

部門役割(概要)
総合政策予算や広報、全体の企画調整
災害事態対処災害対応や訓練、人材育成
防災計画被害を減らすための計画づくり
地域防災被災者支援や防災教育

② キーワードは「事前防災」と「勧告権」

今回の発足で、防災士として注目しているのは2つです。

1つ目は「事前防災」の徹底が組織の看板になったことです。災害が起きてから対応するだけでなく、建物の耐震化や避難所の環境改善など、「起きる前に被害を減らす」取り組みを国が主導する、という宣言です。

2つ目は、防災相に与えられた勧告権です。各省庁に対して必要な防災施策を促すことができ、省庁側にはそれを尊重する義務があります。「縦割りを打破する強い司令塔」という発足式での総理の言葉は、この権限を指しています。

③ 人づくりと地方拠点はこれから

防災人材を育てる「防災大学校(仮称)」の設置が検討されています。また、南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝地震に備える地方拠点「防災局」の設置場所は、来年夏に決まる予定です。防災の担い手をどう育て、地域にどう根付かせるか。司令塔の真価は、これから問われていきます。

なぜ今、防災庁なのか

背景にあるのは、南海トラフ地震や首都直下地震、富士山噴火といった大規模災害への切迫感です。

準備は2024年11月の「防災庁設置準備室」発足から始まり、2025年12月には「防災立国の推進に向けた基本方針」が閣議決定、2026年7月に防災庁設置関連法が成立し、11月2日の発足に至りました。約2年をかけた、大きな体制変更です。

発足式で総理は「想定外をつくらないために、あらゆる事態を考え抜く」と述べました。この言葉は、そのまま家庭の防災にも当てはまります。その理由を、私自身の経験から書かせてください。

私が防災を発信し続ける理由 ― 東日本大震災の記憶

東日本大震災のとき、私は出産間近で身重の妻を守るので必死でした。

計画停電や余震、緊急地震速報が鳴り始めるたびに、不安が募る。あの感覚は、今でもはっきり思い出します。

電車が止まる。お湯が出ない。トイレが流れない。
「当たり前」が、こんなにも簡単になくなるものかと知りました。

その経験から思うようになったのは、こういうことです。

火をつけることからできない人へ、その古代からの生きる力をつけてもらいたい。

火をおこし、水を確保し、家族を守る。何万年も人間が続けてきた営みが、便利な暮らしの中で、いつの間にか「できないこと」になっていました。焚き火と防災を発信する私の原点は、ここにあります。

防災相の「緊急要請」で、私たちが見直したい3つの備え

発足当日、細野防災相は関係省庁への要請とあわせて、国民や自治体にも備えを求める「緊急要請」を発表しました。内容は、拍子抜けするくらい基本的なことです。だからこそ、できていない家庭が多いとも言えます。

① 家具の固定

大きな地震での負傷原因として繰り返し指摘されるのが、家具の転倒です。寝室と子どもの部屋だけでも、背の高い家具の固定と配置の見直しをしてください。キャンプ用のヘッドライトを枕元に置いておくのも、停電した夜にはそのまま使えます。

② 食料と水の備蓄

目安は最低3日分、できれば1週間分。ここはキャンパーと相性がいい分野です。カセットコンロとガス缶、LEDランタン、ポータブル電源といったキャンプ道具は、そのまま在宅避難の道具になります。私がこのブログで「キャンプ道具の防災転用」を勧めている理由です。

※ポータブル電源の選び方は、別記事で詳しく書く予定です。

③ 避難先と連絡方法の確認

ハザードマップで自宅のリスクを確認し、避難先と家族の連絡方法(災害用伝言ダイヤル171など)を決めておくこと。焚き火やキャンプで野外にいるときに被災するケースも含めて、家族で一度話しておく価値があります。「お湯が出ない、トイレが流れない」も、仕組みを知って備えておけば、慌て方はまったく変わります。

よくある質問

Q. 防災庁ができると、消防や自衛隊はどうなるの?

役割は変わりません。現場で消火・救助にあたる消防、災害派遣の自衛隊、警察などはこれまで通りです。防災庁は、その上流で計画を立て、省庁や自治体をつなぐ「司令塔」の役割を担います。私のような消防設備士や防災士といった民間の資格者も、それぞれの現場で役割は変わりません。

Q. 私たち個人の防災は何か変わりますか?

制度や支援の仕組みは今後整っていきますが、家庭の備えの基本(家具固定・備蓄・避難確認)は変わりません。むしろ国が「事前防災」を掲げた今は、見直しのきっかけとして最適なタイミングです。

Q. 防災庁の情報はどこで見られますか?

防災情報の公式ページ(bousai.go.jp)は、防災庁のページとして更新されています。災害時の情報源として、ブックマークしておくことをおすすめします。

公助が届くまで、自分と家族を守る

「未曾有の大災害では、誰も守ってくれません。自分は自分で守る。家族は、家族単位で守る。」

「発災から72時間、細々とでも自力で生き延びることができれば、そこでようやく公助が到達します。ただ、災害の規模が大きければ、公助が届くまで一週間かかることもあります。」

「便利な世の中で、私たちは生きる力を忘れてしまいました。その力を、今一度思い出してほしい。それが私の願いです。」

まとめ:司令塔はできた。最後に動くのは私たち

防災庁の発足は、日本の防災にとって大きな一歩だと思います。事前防災を国の看板にし、352人体制で司令塔をつくった。その意義は、防災士として素直に歓迎したいです。

一方で、発足式の日に大臣が国民に求めたことは「家具の固定」と「食料備蓄」でした。結局のところ、命を守る最後のところは家庭の備えです。

そして私自身は、発信の原点を忘れないようにしたいと思っています。
火をつけることからできない人へ、古代からの生きる力を。
焚き火の楽しさと安全を伝えることが、その力につながると信じて、このブログを続けていきます。

今週末、寝室の家具と備蓄の賞味期限だけでも確認してみませんか。それが、防災庁発足を「自分ごと」にする一番の方法だと思います。

防災の公式情報リンク

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この記事を書いた人
焚火会

防災士・消防設備士。焚火マイスター/バーベキューインストラクター/キャンプインストラクター。
火をつけて・楽しんで・最後まで確実に消すまでの「安全な焚き火とキャンプ」と、家庭の防災を発信しています。キャンプ場レビュー、愛用の焚き火道具、ときどきラーメンも。

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